ホテルといっても、色っぽい話ではなく。
思い出といいつつ、単に「思い出した」だけという、タイトルに虚飾アリの記事です。
カンヅメというの、ご存じだと思います。
作家が(仕事をさせられるために)出版社の手でホテルに軟禁(!?)されることですね、ざっくりいうと。
それだけのコストをかけてもいい人気作家さんなら、経験されているのかもしれません。
わたしはもちろん、そんな機会ゼロ。
でも、自主的に「ホテルにカンヅメ」したことが一度あるんです。
まだ娘たちが一緒に暮らしていて、家の中では気が散って、
「このままでは、わたしがキレる」
と感じて、「ひと晩、家出してくるわ」って。
添削すべくお預かりしている長編原稿と、自身の長編ゲラと、届いたばかりの某アニメの同人誌を持って。
午後5時に夕食作りを始めるという習慣が、身につきすぎてしまっているわたし。
日常生活の中では、この時間が来ると、それだけで気が散ってきます。
ホテルでは時計を見ずに……時間を気にせずに仕事をすることができました。
近所で適当な食べ物をテイクアウトして、おなかが空いたら食べる……机には原稿やゲラを広げたまま……ひと休みして同人誌を読み、仕事に戻って好きなだけ没頭する……
家族には迷惑だったかもですが、贅沢な一夜でした。
その同じホテルに、久しぶりに別件で出かけたので、あの晩の心地よさをしみじみ思い出しつつ……
娘たちが家を出て(5時から家事という習慣は残っているにしろ)誰にも邪魔されない「平日の昼間」がたっぷりある今、わたしはなぜ、当時ほど書いていないのだろう?
「老化なの? 書きたい気持ちが枯渇したの?」
……なんて考えて、愕然としたりもしているのでした。
(いや、「読む仕事」がいっぱいあるんだよー。そのせいもあるにはあるんだよー。でも、書くのは減ってるよね……確かに)→がんばれ