母さん、わたしのあのエコバッグ、どうしたんでせうね?
ええ、スーパーで、野菜売り場から豆腐の棚へいくころには
カートに引っ掛けていた、あの黄色い袋ですよ。
母さん、あれは雑誌の付録でしたよ。
わたし、気づいて、ちょっとくやしかった。
だって、買ったのは付録めあてだったもんだから。
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何かをなくすたび、「ママー、ドゥユーリメンバー♪」と歌ってしまうわたしは、昭和の子。
「人間の証明」は映画でしか知らないけれど。
この映画のキャッチフレーズは、しっかりしみこんでいるのです。
いま見ると、亡くなってしまった俳優さんのオンパレードという感じで……大いなる時の流れにせつなくなります。
愛用のエコバッグをなくしたのは、前掲の詩(?)のとおり。
家族と買い出しに行って、そのとき複数のエコバッグを持っていて、使わなかったほうを落としてきたらしいのです(家に着いたらどこにもなかった…)。
なくしたことが残念なのも詩(?)のとおりですが、元の詩と違って、どこでどう落としたのかわからないこと(自分のぼんやりぶり)のほうが、ショックかも……。
・・・
「ぼくの帽子」というタイトルらしい(←表記等、違うかも)西條八十の詩は、以下のとおりです(全体はもっと長いです)。
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
(略)