映画「ファーザー」を観てしまった……
「観てしまった」というしかない。
そんな気分。
マイ・ファーザー(実父)は認知症である。
体は(癌や腫瘍もあるのに)元気だし、朗らかに暮らしているほうだと思うが、短期記憶はダメダメだ。
「ファーザー」はアンソニー・ホプキンスがアカデミー賞を獲った映画。
彼が認知症の老人を演じている。
正直言うと「観ておくと参考になるかな、父上がああいう状態だしな」という気持ちだった。
ごめん。
ちがうわ。
これは「父の映画」ではない……「わたしの映画」だ。
将来、けっこうな確率でわたしが体験しかねない世界だ。
好んで見るジャンルじゃないとはいえ、ホラー映画はいくつか観ている。
「ファーザー」は、まるでホラー映画。
一瞬、「シャイニング」を観てるんだっけ? なんて錯覚したほど。
廊下の先に、双子の少女が立っていそうなんだもの。
この際、ホラー映画に分類してもいいんじゃないか?(いや、よくない)
「わざとホラー映画っぽく作ってるんじゃないの? なんなのよ、その演出は。もー」
と責めたくなるほど、認知症の主人公から見える世界は『客観的』にはホラー。
でも、本人にとっては不安と困惑の世界……だよね。泣けた。
認知症の症状は人それぞれだと思う(この映画の主人公とうちの父も全然違う)。
もちろん、そうならない人もいる。
できることなら体験せずにいたいけれど、もしも認知症になる未来しか選べないなら、せめてロマンチックコメディの世界で、イケメンの介護士さんにときめいたりして過ごしたい。
【追記】
投稿してから変なタイトルだなって気づいたんですけど、たぶん、ホラー映画より怖かったって言うつもりだったんだと思います…