伊坂幸太郎さんという作家さんがいます(って、説明するまでもないと思いますが)。
わたしの中には「こちらを向いてにっこり笑っている優しげな男性のポートレート」があり、ずっとずっと、その男性が「作家の伊坂さんだ」と思っていたのです。
初めて、新聞で伊坂さんの……本物の伊坂さんの写真を見たとき、
「じゃ、わたしの脳内の彼は、誰!?」
と驚きました。
未だにその男性の姿は脳内に残っているのですが、誰なのかは不明なまま。
しかたなく「脳内伊坂さん」と名付けています。
曲名がわからないとき鼻歌のメロディから探してくれるアプリ、みたいな記事を読んだ記憶があるのですが、さすがに脳内映像を読み取って「誰々さんです(35歳当時の姿)」などと教えてくれるアプリはなさそう。
唯一考えられる方法は、わたしがものすごく絵が上手になって、紙の上に写し取ることですが……それも非現実的です。
(警察の似顔絵描きの方に説明する、とかは却下。途中で言葉をはさんだらダメだわ、きっと)
前置き(だったんです)が長くて、すみません。
「え!」
と、なりました。
そして、久しぶりに脳内伊坂さんのことを思い出しました。
若いころ「ことばと国家」を読んで、全部を理解したわけじゃないけど、非常に感銘を受け、当時から「田中克彦」という方のイメージが脳内に浮かんでいたのです。
脳内伊坂さんほどはっきりしたポートレートではないのですが(絵の技術があっても紙に写すとぼやけそうな感じ)。
当時のイメージに年齢を加えても、この記事の写真の田中克彦さんにはなりません。
わたしはいったい、どこの誰を田中さんだと思って生きてきたのかな……
わたしの頭が悪いのでしょうか。←うん。