デビュー作は「名刺」。
わたしはそんな気がしています……選考する立場になって以来。
えぇ、自身が応募者だったころ、そんなことは考えていなかったくせに。
新人賞って、出版する側から見れば「これから一緒に仕事をしていく人」をゲットする場でもあるんじゃないかな。
そこは、「その年の受賞者を表彰すれば、ひと区切り」という企業系・自治体系の公募との違いです。
だから、採用試験をイメージすればわかると思うんです。
規定違反をしてはいけないとか、できるだけ整った原稿にしようとか。
(殴り書きの履歴書を投げつける人はいないでしょう?)
こういう人材を求めてるんだなとか、逆に「キャラがかぶったら『ふたりも要らない』って判断されるだろうな」とか。
そういうことも考えると思うんです。
採用試験なら。
デビュー作が名刺っていうのは、のちに別の代表作ができるまでは、
「○○という本を出したわたしです」
って、自己紹介することになるという意味。
その本自体を、名刺のように営業先に差し出すこともあるわけですし。
そうイメージしていただけば、応募作の内容も見た目(読みやすさ等)もペンネームも、「作り方」は変わるんじゃないかと思います。
殴り書きだけど「これはすごい!」みたいな、天才的な作者の作品……なら、話は別かもしれません。
わたしは、そこまでの応募作に出会ったことはないですけど。
わたしの経験した中では、ほとんどの受賞作は原稿の見た目も整っていましたよ。
(一度だけ、印字スタイルを変えてほしいなぁ、読みづらいなぁ、というのがありました。あまりにも例外すぎて、未だに覚えているほどです(^^ゞ)