その朝、冷凍庫内を圧迫している(食べきれなかったので冷凍した)食パンを消費しようとして、不意に、
「昔よく食べていた、あのパン」
が頭に浮かんだのです。
「名前があったと思うんだけど、なんて呼んでいたっけ?」
そこまでは思い出せなかったのですが……レシピ(というほどのものではない)はすぐに蘇りました。
トーストにマスタードを塗り(バターはなくてもいいと思う)、わざと黄身をつぶして焼いた「目玉」じゃない目玉焼きをのせ、ケチャップをかける。
ケチャップで「自然に」顔を描いていて……思い出しました。
たぶん、これ、「にこにこパン」と呼んでいたよね?
親に「早く嫁に行け」と責められ、お見合い写真攻撃をかわしながら(ときおりかわしきれず)隠れて小説を書きまくっていた時代、同人誌(文学同人のじゃなくて、コミケとかで売られるもののこと)でその作者さんが紹介していたのが、この「食べ方」だった…と思います。
わたしが開発したわけじゃなく、ね。
なつかしい……。
書くためのエネルギーが全身からあふれかえっていたころの話です。
書きまくった、としか言いようがない日々。
ディスプレイが「20文字」のワープロで。
今でもたまに、わたしのことを「いっぱい書く人だ」と思ってくださる方がいますが、当時は、今(デビュー後)の比じゃなかったな。
あー。
ところで両親との関係、20代半ばは最悪でしたが、今はごく普通に仲良しです。