古い日記を調べていて、20年前の今日の日記にこんな記述を見つけました。
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「元気」の印税の通知。
単価が安めで、執筆者も多いので、金額としては「ミステリー」の半分くらい、という感じ。少なめだと思っていたけど、こんなに少ないのか、と驚いてしまった。
でも、「夏の宿題」に関しては、印税額では云々できない。
書き手冥利に尽きる「贈り物」をあちこちからいただいたので、お金に換算できないのだ。
もちろん、印税はほしい、来年も重版されてほしい。
それは思うけれど、「それだけ」じゃない。
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「夏の宿題」は「元気」に収録された拙作のタイトルです(その他の解説は記事の最後に)。
だけど……書き手冥利に尽きる「贈り物」って、何だっけ!?
書き手冥利に尽きてるくせに……思い出せないなんて……(すみません、すみません)
これ以前の日記をさらに捜索すれば、見つかるかもしれないけども。
この日記からさらにあと……10年以上あとかな、さらなる「書き手冥利」がやってきました。
「夏の宿題」が小学3年生の国語の教科書に掲載されたのです。
「よみもの」として、なので、この作品で漢字や文法を勉強するわけではないのですが、ほかの会社が教材として(ドリルなどに)使ってくださいました。
教材としての使用料って莫大なものではないですが、20年前に「アンソロジーの印税って、ほんとに少額だなぁ」と日記に書いている……その額以上に、のちにいただいています……そう、20年後にも。
「過去」の日記も意味不明だけど……「未来」のことはわからないものですね。
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注:「元気」は「元気が出る童話」という公募のアンソロジーのシリーズ。
「ミステリー」と書いているのは、同じく公募のアンソロジーのシリーズで、何種かあり、主に「怖い話」という意味の「ミステリー」です。
アンソロジーというのは、この場合、複数の書き手の(同一コンセプトの)作品を集めた短編集という感じです。
上記のはどちらも日本児童文学者協会が募集して、出版社から出しているものなので、印税は児文協と各執筆者で分けあうイメージです。イラストレーターさんの分もあるかな。
一般書は「印税は定価の10%」といわれたりするけど(著者によって、会社によって違うと思う)児童書は単著でもイラストレーターさんとその10%を分けあいます(パーセンテージはケースバイケース)。
アンソロジーなら収録した作品の書き手で分けあうので、場合によっては5桁に届かないこともあったような気がします(たいてい5桁は超えますが)。
アンソロジー採用を足掛かりにデビュー、ということもあるし(これは書き手さん自身の「努力」で)、今回の記事のように「未来」にも収入を産んでくれることもあるし(これは「神頼み」かな?)……何が起こるかはわかりません。
言えるとしたら、その『何』かは「実際に手を動かし、完結した作品を書ける人だけに起こりうる」ってことくらいかな。