豊田有恒さんの訃報がニュースになっています。
お名前はもちろん知っていますが、知ったのははるか昔。
調べてみたら、「少年エスパー戦隊」(69年の作品らしい)のタイトルは記憶にあるので、これ(の文庫版)を読んでいるんじゃないかなぁ。
このころ読んだジュブナイルSFには、ほんと、すごく影響を受けてる。
人生の方向性を決めた、といってもいいかも。
(わたしはSFをそんなに読まないので、豊田さんについて詳しいわけではなくて、ごめんなさい。少女時代に知った名は、忘れないものだなぁっていう気持ちなんです)
わたしがデビューさせていただいたのは「福島正実記念SF童話賞」という名の新人賞です。
いつのまにか、その選考委員もさせていただいているのですが……。
数十年続いている賞ですから、入賞経験のある人が増え、つまり、
「この時期に選考して、このくらいのタイミングで受賞の連絡が来るんだな」
みたいなことを多くの人が知っているわけです。
わたし自身はそういうことを公開の場で書かないことにしているので、選考会のための上京も日程は明かしませんが……
明かしませんが、「知られている」よね。
今、選考期間だってことも。
一次選考は(こういうことも知られていると思うけど)応募作の筆力の差が激しいです。
最終選考でさえはっきり差がつくことが多い(と「選評」でわかってしまう)んだから、予選段階のようすなんて……簡単に想像できてしまうと思います。
うまい書き手さんが増えた(というかそういう方が書き続け、応募しつづけているのかな)という印象ですが、応募作を手にするたび、
「SF童話って、むずかしい『くくり』だよなー」
って、身に沁みます。
SF小説。じゃないんだよね。
世界(設定)を作りすぎたら、対象年齢(小3の子に読めないと、みたいな)をはずれてしまう。
でも、「童話」でもないんだ……。
うさぎさんとたぬきさんが森でお茶会をする、みたいな作品が、これまで受賞していないことに気づいていますか?
ただ楽しいだけ……も、むずかしいかな。
SF童話賞の作品はいわゆる「エンタメ」に分類されるのだと思うけど、それでもテーマ性のあるもののほうが「強い」気がします。
ずっと以前の……89年の第6回SF童話賞の受賞作「ぼくのじしんえにっき」が最近復刊(というか新装版で再発売)されたように、「子どもたちに読んでほしい」と思わせる作品は、強いと思う……私見だけど。
まだ予選段階で、この先どんな作品が勝ち上がっていくのかはわかりません(選考委員でも予想ができません)。
だけど、
「これだけ書ける人なのに、惜しい!」
みたいなことが選考中に何度もあるので……あるのに、それを伝えることができないので……。
その賞が求めているものは何か、とか、自分の作品が「出版社の商品になる」とはどういうことか、とか、そういうことまで考えることができると、「惜しい」にならないかもしれないなぁって……おせっかい発言ですよね、すみません。
わたし自身が応募者のころは、そんなこと考えてもいなかったのにね(^^ゞ