……そんな過去がありました。
専門学校でも脚本コースに進むつもりだったのに……迷いの多い子だったので(いま思うと笑えるけど)美術制作コースに行ってしまった……のはどうでもいいとして。
今でも……小説を書くときでも、わたしはセリフを書くのがいちばん好きです。
っていうか、セリフには迷わない。
地の文は原形をとどめないほど書き直すのが常だけど、セリフは最初に書いたものがずっと生き残ったりします。
だって、セリフは「登場人物が言った」んだもんね。
わたしが勝手に変えることはできません。
プロットを書くのはヘタなくせに、セリフのやり取りだけでストーリーのメモを取ることもあるくらい。
セリフを書くのが……正確には、キャラが発する語を書き取るのが、好きなんだ。
(一部には、セリフのやり取りだけの短編をごらんくださった方もあるでしょう。趣味の世界では、たまにやります)
地の文を書くのは面倒でたまらないのですが(っていうか「これでいいだろうか」と悩んで直しまくる時間が長いのがイヤで)セリフを書くのを面倒と感じたことはないもんね。
たまに、書き取る手が追いつかない、みたいな「しんどさ」はある程度。
そんなわたしなので、主にセリフで構成されるシナリオのライターになりたかったのは、むっちゃ自然なことです。←?
そして、ドラマや映画の「セリフ」に厳しいのも、また……。
そんなにいつも「耳を皿のようにして」チェックしているわけではないのですが、気になる会話があると……そういう会話に気づくと、もうその作品を見ることができなくなったりします。
第1話に(脇役同士の会話に)「え?」と思うダサい(すみません)やり取りがあって、第2話以降を見なかったドラマもありますし。
なんていうか、「今の、ヘンじゃん? 俳優さんのミス? シナリオの不備? ここは『センスある会話』をすべきシーンでしょうよ」と思ってしまい、この先も同じように苛立つのかも、と思ったら興味が失せてしまったのです。
最近観た邦画でも、全体はわりとよかったのだけど……とっても重要なシーンで、
「え? 今、一語抜けてなかった? 会話になってヘンやん」
みたいなのがあって……。
わたしが聞き逃しただけかも???
聞き逃しじゃないとしたら、俳優もスタッフも気づけなかったの? ってことになる……まさか?
例をあげれば、初対面の会話で、
「これ、(父に)もらったんです」
「いいお父さまね」
みたいな感じ……「父に」っていってないのに、なんでその「返し」になるん? ってなるでしょう?
ほんのちょっとのことが、作品全体を吹っ飛ばしてしまう……わたしは神経質なのかもしれません。
でもねー、気になるんだよー。
気になるのと、わたしがセリフまわりをうまく書けるのかどうかってことは、別問題ですけども。
よく、「どの段階までアイデアが育ったら書き出せるの?」なんて話を作家さんたちとしたりするけど、もしかしたら……わたしの場合、
「キャラたちがしゃべりはじめたら」
かもしれません。
そんな気がしてきた……(いま初めて)。
なるほど、脳の中に耳をむけるところからはじめてみようかな。