幼いころ、憧れていることがありました。
おとな(お母さんたち)がよくやっている、「買い物カゴを腕にかける」ことです。
腕にかけたら地面に引きずりそうで、荷物を入れたら歩けないであろう……そんなころの記憶です。
半世紀以上前のことを「むかし、憧れていた」と思い出せるのは、腕にバッグ類をかけられるサイズに育ってからも、かけるたびに思い出してきたからなのでしょう。
昭和の子ですから、幼いころはスーパーマーケットが身近にはなくて、「マーケット」つまり「市場」と呼ぶのは、ひとつの建物の中に複数のお店が入ったもののこと。
魚屋さんとか八百屋さんとか、お味噌屋さんとかね。ブースに分かれているようなイメージ。
おとなはそこに、買い物カゴを「腕にかけて」行くわけです。
わたしは近年、夏が来るたび、買い物カゴを腕にかけたときに取っ手が当たる位置……肘の内側(一面)にアセモができて困っていました。
アセモというのは「子どもの皮膚にできるもの」と思っていたので、アセモができるたび、
「わたしって、若いな!」
みたいな驚きを感じていたわけですが……。
とにかく、痛い。
買い物カゴはかけないけど、ひりひり痛い。
腕を曲げると皮膚が重なる位置だから、食事もつらい……お箸を口に持っていくのが痛いので。
(誰かに「あーん」してもらわねばならない)
夏が来るたび、たいへんだったのですが……今年は、アセモなしで乗り切れたようです。
やったー!
おとなになったー!
アセモなし、というのは正確じゃないな。
毛穴ひとつかふたつ(?)が赤くなって痛み、
「これはいかん! 拡散防止!」
と薬を塗って、できるだけ肘を曲げないように暮らす……ということは数回ありました。
「毛穴ひとつかふたつ」でもチクチク痛むのですから、広がったら、ほんと、つらいんです。
昨夏と今夏、何が違うのかは検証できませんが、まだ暑い日もあるので油断しないで乗り切り切ろう(?)と思います。
ところで。
今年の夏は、義母のアセモがひどかったようです。
わたしのとは(部位を含め)違うタイプのようで、ひどい痛みはなさそうでしたが。
義母には、わたしが使わなかったアセモの薬を使ってもらいました。
そして、アセモは「若さ(幼さ?)の証明」ではなさそうだ、と知ったのでした。